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子どもとともに創る授業

 
 わたしたちは,子どものこれまでの生活経験や,学習経験からくる一人一人のわかり方の違いを大切にした授業づくりをめざしている。そこでは,子どもの追究を見通した単元構想こそが,豊かな学びを支える最大の支援であると考え,その営みを大切にしている。
 
1 子どもをとらえ,願いをかける       
                         
 
子どもをとら
える


願いをかける




 わたしたちは,子どもたちが今何に目を向け,何が気になっているのかをしっかり見極める必要がある。そのためには,子どもたちをあらゆる角度からとらえ,その子の考えや行動が生まれてきた背景をもさぐっていくことが大切である。
 一人一人をとらえることで,その子にとって必要な資質や能力が何なのかが見えてくると,教師の願いがはっきりしてくる。それは,その子のもっているよさを伸ばし,可能性を拡げるとともに,その子の足りなさをとらえ,よりよい方向へ導きたいという願いである。そして,その願いを具現していくために,単元を構想していくのである。      
 
2 教材を模索し,選定する          
                               
 
教材を模索す




      
 教材というのは,どこかに決まったものがあるのではなく,目の前の子どもたちをとらえていくなかで生まれてくるものである。つまり,教材があって子どもがあるのではなく,子どもがあって教材があるという「子どもありき」の考え方なのである。わたしたちは,目の前の子どもたちにとって価値ある教材を模索していくのである。
 教材を模索する視点としては,次のようなことを大切にしている。                
【教材を模索する視点】
○子どもの生活とかかわりがあり,興味・関心をわきたたすもの
○子どもの意識をゆさぶり,生活を見つめ直すことのできるもの
○いくつかの追究の道筋と連続が見通せるもの
○適度な困難性があり,追究に耐えられる深まりをもつもの
○子どもの心に感動や共感をよびおこすもの
○教材そのものに,矛盾や子どもにとって意外性のあるもの
◇学級を母体とした活動を子どもたちが呼び込めるもの
◇子どもの葛藤を見通せるもの
              ◇:くすのき学習(総合的な学習)
教材を選定す







 
 このような視点をもとに,本当にそれが目の前の子どもたちにとって価値ある教材であるのか,何度も自問自答しながら,教材を選定していく。そして,模索し,選定した教材が,子どもに何を語りかけ,また,子どもがその教材にどう立ち向かっていくのかを考え,教材を吟味する。
 教材の選定には,そこにたどり着くまでに教師の悩みや苦労がつきない。しかし,その営みのなかから教材が生み出されたとき,追究の深まりにつながるとともに,その教材に対する教師のエネルギーは満ちあふれ,子どもの追究を支えていく源になるのである。
 
3 追究を見通す               
       
 
単元目標を
明確にする
 教材を選定し,単元を構想するにあたって,単元の目標を立てる。その視点を次のように考えている。
【単元目標の視点】
○子どもをとらえたなかから浮かび上がってくる「求める子ども
 の姿」を具現するもので,生活面での成長を願ったもの
○教科やくすのき学習で大切にしている資質・能力の面で身につ
 けさせたい内容を盛り込んだもの
教材との出
会わせを考
える
   
   


意識のほり
おこし




教材との出
会わせ


 


     
     
     
     
     
     
追究の道筋
を予測する

















     
     
     
   




ひとり調べ
を強める













     
      









 
  


   

かかわり合いを位置づける
 
 わたしたちは,対象との出会いを子どもたちの生活のなかに求めている。子どもたちが,じかに見たり,さわったり,遊びまわったりする活動にひたるなかで,対象に熱中していくことを大切にしている。
 しかし,子どもたちがこれまで経験しながらも,生活意識のなかにはっきり意識されずにいるものがある。そのようなときには,意識のほりおこしをしていくのである。そこには,気になり始めた対象にかかわろうとする子どもの姿が見られる。


 
意識のほりおこし
 過去に経験しながらも,埋もれていた生活意識を改めて見つめさせ,常に気になるものとして意識させる営み。
 対象が子どもの生活意識に入り込んだうえで,教材との出会わせを考える。教材との出会わせ方によって,子どもの追究の勢いは大きく違う。そのため,追究や活動の勢いが強まるような教材との出会わせ方を工夫することが大切である。
 教材と出会うなかで,子どもたちは,自分の考えとのずれを感じたり,自分のこれまでの考えと結びつけたりして,さまざまな気づきをもつ。その気づきを文に書かせたり,発表させたりして,気づきを鮮明にさせていく。それらをかかわらせることによって,問いが生まれたり、くすのき学習では、「こうしたい」「やらなくては」などという思いや願いが高まる。


 
問い
 追究したい内容や方向が明確になり,追究を始めようとする一人一人がもった問題意識。
 わたしたちは,問いをもったり、思いや願いが高まった子どもがどんな追究活動をしていくのか,その道筋を予測する。それは目の前の子どもを鋭くとらえることによって,子ども一人一人が何をどのように追究し,他の子どもとどうかかわって追究を深めていくかということを,教師が厳しく見通すことである。そのうえで,子どもの追究を支えるための支援をさぐっていく。



 
追究・活動
 問いをもった子どもが,対象にはたらきかけ,自らの力で解決と創造の道を歩む学習活動。ひとり調べが中心になる。
 それを具体的に形に表したものが単元構想図である。子どもの追究を意識の流れで表すとともに,教師支援を位置づけていく。子どもの予想される追究の姿と,具体的な教師の手だてを関連づけて構想図に表していくのである。
 子どもの追究の道筋を予測していくと,じっくりと納得がいくまで考えをつくらせていく場と,追究に勢いをつけたり,自分の考えの見直しを図る場が明らかになってくる。これが,わたしたちが大切にしているひとり調べかかわり合いであり,それぞれねらいをもって位置づけている。






 
ひとり調べ
 その子なりに対象を引き寄せ,その子なりの方法で,追究を深めていく学習活動。
かかわり合い
 ひとり調べで得た事実や思いを出し合い,吟味することにより,それぞれのひとり調べのよさや足りなさが自覚でき,その後の追究に勢いをつける学習活動。
 わたしたちは,ひとり調べこそが学習活動の中心であると考えている。それは,一人一人のわかり方の違いを生かしたり,それぞれの子どもの足場となる考えをつくらせることで,自らの追究の連続が図られると考えているからである。
 そして,子どもたちが自らの力でひとり調べを強めていくことを願っている。そのために,子どもをとらえ続け,子どもに寄り添い,その子にふさわしい支援をしていくのである。
 子どもに追究の勢いがある場合には,その活動を温かく見守るということも大切な支援である。見守るとは,安易に子どもを放任し,自由にやらせるということではない。たえず子どもをとらえ続けるとともに,先を見通して,予想される困難に対して,子どもの状況に応じて適切な支援ができるように対処していくことなのである。
 子ども一人一人に,追究を確かに自覚させ,深めさせていくためには,学習記録への朱記子どもとの対話といった支援を行う。ここでは,学習記録や生活日記などから子どもの意識や追究姿勢をとらえ続け,その考えの背景にあるものまでもさぐり,それにふさわしい朱記や対話を行っていくことが大切であると考えている。
 朱記や対話は,子ども一人一人に直接はたらきかけ,子どもの思いを引き出すことができるよさをもっている。それは,子どもの状況によって,認める,励ます,ゆさぶるなど,さまざまな視点が考えられる。





 
朱記
 子どもの追究にとって必要な投げかけや励まし,助言や示唆などをひとり調べに記すこと。気づきを意識づけたり,追究の方向を自覚させたりするために行う教師の朱書き。
対話
 子どもの真意をさぐり出し,子どもの考えを認めたり,甘さを指摘したりするために行う教師と子どもの話し合い。
 わたしたちは,子どものひとり調べにさらに拍車をかけるために「かかわり合い」を位置づけている。それは,子どもの考えや追究の方法を一つにまとめ,共通化していくことではない。ひとり調べを足場にして,子どもが互いに意見を出し合うなかで,追究を見直し,いっそうひとり調べに勢いがついていくものでなければならない。
 かかわり合いの位置づけ方は,単元の大きさなどによって多少の違いはあるが,次の三つを大切な節目として考えている。
問いを生むかかわり合い(思いや願いを確かめ合うかかわり合い)
 対象と出会ったときの疑問や感動がそれだけに終わらず,それを自分なりに意味づけたい解決したいという追究を始めようとする意識や意欲にまで高めさせるかかわり合い。
追究を見直すかかわり合い(活動を見直すかかわり合い)
 互いの追究を知りたいと子どもが求めてきたときや,追究に停滞がみられたときなどに,自分の追究のよさや足りなさに気づかせたり,新たな勢いをつけさせるためのかかわり合い。必要に応じて行う。
核心に迫るかかわり合い(活動を振り返るかかわり合い)
 一人一人が互いの追究の高まりをわかり合い,追究内容や自らの追究に価値を見いださせるためのかかわり合い。




単元をぬけ
た姿を見通






単元の構想
を見直す

 
 いずれの場合も,子どもの個性的な考えや追究方法が出されるなかで,ぶつかり合ったり,影響し合ったりして,互いのずれ,対立,矛盾,共感などを明らかにし,さらに追究を深めていくことを期待している。
 さらに,わたしたちは,単元を構想するにあたり,単元をぬけた姿までも見通すようにしている。子どもをとらえ続け,子どもに寄り添い,追究を支えていくことで,この単元を契機として,子どもたちにどのような姿が期待できるのかを見通すのである。それは,教師の子どもにかける願いが具現された姿であり,子ども自身の生活のなかに生かされていくものであると考える。
 このようにして単元を構想していくが,子どもの意識や動きをとらえ続けるなかで,必要に応じて構想を柔軟に見直していくことが大切である。子どもの追究の道筋を改めて予測し,単元構想をより具体的にしたり,修正したりしていく。子どもを確かにとらえ,子どもの追究に寄り添って,生きた手をうっていくことが,追究の深まりにつながると考えるからである。

 わたしたちは,子ども一人一人のわかり方を大切にし,子どもの追究を支えている。その最大の支援は,単元構想である。そして,子どもをとらえ,とらえ続けるなかで,単元構想をたえず見直し,修正を加えている。そうすることによって,子どもの追究を深めさせていくことができ,成長していく子どもの姿が期待できるからである。


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